高市政権の外国人政策に注目が集まっている。経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「外国人の問題が社会問題化した背景には、日本に起きた①量質転化②国力の低下③政治の腐敗、この3つの変化がある。一つ一つを紐解くと、3つの解決策が見えてくる」という――。

「外国人問題」が盛り上がる3つの背景

直近の国政選挙で外国人問題が大きな争点となって以降、増加する外国人をどう考えるのかの議論が盛んになっています。高市内閣で外国人政策を検討する「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」が設置されたのはその流れです。

しかしなぜ最近になって外国人問題が大きく議論されるようになったのでしょうか。

構造として日本社会に起きた「3つの変化」が背景にあります。外国人政策が転換点を迎えた理由について解説したいと思います。

「3つの変化」を先にあげさせていただきます。

1.量質転化が起きたこと
2.国力の低下
3.政治の腐敗

この3つの要素で日本は変化を迎えています。

そのことと外国人政策がどう関係してくるのでしょうか? 順を追って説明したいと思います。

変化1 量質転化が起きたこと

まずひとつめの変化である量質転化についてお話しします。量質転化とはドイツの哲学者ヘーゲルが提唱した弁証法という考え方の原理のひとつで「量が増えることに伴い質的な変化が必ず起きる」という原則です。

10年間で人口比率が3%に倍増した

直近で日本に在留する外国人は約377万人と過去最高になっています。これは総人口の3%の水準です。10年前の2015年の国勢調査では同じ比率が1.5%でしたから10年間で量が倍増したことになります。

インバウンドも同様です。20年前の2005年が約670万人、2015年が約2000万人だったところから今年は4000万人超えが確実になってきています。

浅草
写真=iStock.com/AlxeyPnferov
※写真はイメージです

量が積み重なることで質的な問題が必然的に変化するというのがヘーゲルが掲げた原則です。実際に今、日本の外国人問題はまさにそのような意味での質的転換を実感している状況です。10年前と比較して人数が倍になった外国人が引き起こす社会との軋轢は、その問題の質が以前とは違ったものになるのです。

変化2 国力の低下

そのような構造変化が起きた状況下で日本は2つめの変化にも直面しています。

国力が低下してひとりあたりGDPランキングで大きく順位を下げているのです。