時間治療の考え方と密接な3つの「クロノタイプ」
「時間治療」という言葉をご存じでしょうか。これは、私たちの身体に備わっている「生体リズム(バイオロジカルリズム)」の仕組みを治療に取り入れた考え方です。
1950年代に入ると、生体リズムを取り入れた「時間医学」の研究が盛んに行われるようになり、それが体系化されて「時間生物学」という学問が確立しました。これは病気の治療にも取り入れられ、血中の薬物濃度や薬による有害作用と投与時刻の影響を研究する「時間薬理学」に発展しました。
こうした研究をベースに疾患における一日のリズムの特徴から、患者一人ひとりに対して最も効果のある、そして安全なタイミングを狙って薬を投与するのが「時間治療」です。
しかし、これまで日本では、この考え方はあまり広まってきませんでした。製薬会社が新薬を開発するときには、有効性・安全性を確認するために、まずマウスで実験を行います。実験は基本的に昼間に行われます。ところが、マウスは夜行性です。
しかし、この昼夜逆転問題は、実験ではあまり問題とされません。最終的にヒトで治験が行われるときも、厚生労働省は昼夜での薬の有効性の比較を求めていません。だから、製薬会社は薬を投与する時間帯によって様々な違いがあることまで確かめることはしないのです。
しかし、飲む時間帯を考慮することで、薬の効果や安全性を高めることができることを、私は長年の研究で明らかにしてきました。ここからは「時間治療」に深く関わる人体のリズムについて見ていきましょう。
まず、時間と人体の関係について。
あらゆる生物は生活のリズムを司る「体内時計」を持っています。私たち哺乳類のメインの体内時計は「中枢時計」と呼ばれます。朝に目が覚め、日光を浴びて、朝ご飯を食べる。夜になったら眠くなる。こうしたリズムを刻んでいるのが中枢時計です。
さらに、中枢時計の司令を受けて、身体の臓器などがそれぞれのリズムを刻む「末梢時計」があります。
中枢時計は、ホルモンの分泌や自律神経を介してリズム情報を各臓器に伝え、その情報に沿って各臓器はリズムを刻みます。ただ、末梢時計は中枢時計の影響を受けはするのですが、食事、睡眠、覚醒といった刺激に応じてリズムを微調整してもいます。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
- 広告最小化で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント

