1個2000円もするタルトがSNSで注目を集めている。2024年、代官山にオープンしたタルト専門店「Charles-Henry(シャルルアンリ)」の商品で、週末には行列ができるほど人気だ。ランチ1食分を超える値段のタルトがなぜ売れるのか。オーナーシェフをライターの圓岡志麻さんが取材した――。
主役のフルーツを引き立てる繊細な味
「Charles-Henry(シャルルアンリ)」のある代官山は、落ち着いた街並みにおしゃれな飲食店やセレクトショップが集まる街。2023年10月には複合施設「フォレストゲート 代官山」もオープンし、観光スポットとしての魅力が再燃した。
駅を出てすぐの角を占める、ガラス張りの建物がシャルルアンリだ。インテリアの基調は白地に金、そしてピンクやバイオレットの花柄。天井にも咲き乱れるような花の飾りが配される。女性的でデコラティブだが、モダンな調度も程よく混じり、すっきりとしている。
そして運ばれてくるタルトの、宝石で造られた花のような繊細な美しさ。
形が崩れてしまうのを惜しみながらフォークを入れ、口に運ぶと、再び驚きがある。
フルーツそのもののフレッシュさに、ある味は寄り添い、ある味は香りやアクセントを加える、複雑な味わい。そして歯応えのあるタルト生地が食感のアクセントとなる。
左からショコラタルト(1人前2200円)、柿タルト(1人前1900円)、シャインマスカットタルト(1人前2500円)、梨タルト(1人前1900円)、黒イチジクのタルト(1人前2200円)
甘さはごく控えめで、軽い味わい。さまざまな味が少量ずつ協力し合って、主役のフルーツを引き立てている。そんな印象だ。タルトはイートイン・テイクアウト合わせて1日100個以上売れるという。
インテリアとタルトが一体となった、ここにしかない世界観に没入できる。これが人を惹きつける理由の一つだろう。




