問題解決のヒントや新しいアイデアは、どうすれば思いつくのか。脳科学者の茂木健一郎さんは「空から急に落ちてくるわけではない。脳にプレッシャーを与えること、そして、いろいろなものを掛け合わせることが大事だ」という――。(第2回)
※本稿は、茂木健一郎『AIで脳は覚醒する AIには絶対にできないこと 人間だけができること』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。
クリエイティブな作業の求められる意外な要素
「創造性って言っても、自分にはセンスとかないしなあ……」ここまでお読みになって、こんな風に感じた方がいらっしゃるかもしれません。
たしかに、巷に広がる「クリエイティブ」と言えば、デザイナーがコンピューター画面に向かって何かすごいものを創作しているイメージがあるかもしれません。
でも、これはまったくの見当違いです。クリエイティブという概念についての典型的な誤ったイメージだと言えるでしょう。では、ここでクリエイティブの“本質”について考えてみたいと思います。
それは絵が描けたり、小説が書けたり、あるいはキャラクターを生み出すことでもありません。クリエイティブをひと言で説明するなら、「さまざまな制約をクリアしながら新しいものをつくりあげる」ことではないでしょうか。
クリエイティブな作業と言っても、実際にはジャンルを超えて多種多様なものが存在します。例えば、ゲームをつくることも、ビジネスパーソンが企画書を作成することも、すべてクリエイティブな作業となり得るのです。
そうしたクリエイティブな作業のすべてに求められること、それは「締め切りをつくること」です。締め切りという制約をつくることなしには、クリエイティブという作業は成立しません。

