海外のビッグテックに比べ、日本のAI開発は遅れをとっている。どうすればいいのか。脳科学者の茂木健一郎さんは「今からすべきは後追いすることではなく、人間の脳とAIの両者で協働する可能性を模索するのがいい」という――。(第1回)

※本稿は、茂木健一郎『AIで脳は覚醒する AIには絶対にできないこと 人間だけができること』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

マーク・ザッカーバーグが考えるこれからのAI時代

MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグが、YouTubeのインタビュー(2024年6月27日)で、AI技術のオープンソース化に対する信念を次のように述べました。

「人々は多様性を重視します。それが人生において学び、進歩しているという感覚を生み出す豊かさの多くを作り出していると思います。

だから私は、未来は一つのAIではなく、多くの人々が異なるものを作れる多くのAIになると深く信じています」

マーク・ザッカーバーグ
マーク・ザッカーバーグ、Meta Platformsの共同創設者、会長、CEO(画像=Jeff Sainlar/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

マーク・ザッカーバーグはこのように、将来的にはさまざまな種類のAIが生まれてくるのではないかという希望的な未来予測を打ち出しました。

AI技術を一企業が独占するのではなくオープンソース化し、他の企業や個人が自らの手でAI技術を活用できるようになることで、さまざまな分野において革新を生み出すことができると考えているのです。

ただ、現状ではAI技術はどちらかといえば寡占が進んでおり、アメリカのビッグテックが中心となって動いています。

それこそ、AIを活用した主要なサービスも、大規模言語モデルも、私たちが日常で活用しているAI技術は限られてしまっています。

ただ、人間の世界を見れば、それこそ70億の人たちがいて、世界中に多様な個性がちりばめられています。

それこそ、いろいろな性格の人もいるし、得意なこともあれば不得意なこともあって個々の能力がでこぼこしているわけですから、人間の持っている多様性がさまざまなAIと結びつくことで大きな強みになってくるのではないかと、私はマーク・ザッカーバーグのインタビューから感じました。