老化は衰えではなく、生きるために必要なものを残す自然なプロセスだと、解剖学者の養老孟司氏は言う。脳の仕組みや死生観、人間と自然の関係を通じ、「老い」を前向きにとらえる考え方を聞いた。

肺がんになってもそれほど驚かなかった

正体① 老化は必要なものを残す進化のプロセスだ

当たり前の話ですが、人間も年を取れば、体のあちこちが弱ったり、不自由になったりします。

私自身も90歳近くになりましたが、例えば、握力がめっきり低下してしまい、昔は簡単に開けられたペットボトルの蓋も開けられません。2024年には、肺がんと診断されたものの、それほど驚きませんでした。というのも、細胞や免疫の機能不全によって起こる「がん」も老化現象の代表格で、この年になれば、精密検査をすると、がんの一つや二つ、見つかることが珍しくないからです。