「お墓」の歴史は実は意外と新しい

それでもよかったのか? と疑問に感じるかもしれませんが、それでよかったのです。なぜなら、死霊は、すでに死霊が行くべきところ(村境、辻、山、海など)に移動していると信じられていたからです。あるいは、のちに触れるように、もう一度、別の人間の霊魂として再生すると考えられていたからです。そのような状況下においては、石塔はありませんでした。

しかし、その後、石塔が建てられるようになると、今度は石塔にも死霊はやどる(いつもいるかどうかはわかりませんが、少なくともお詣りに行く時にはそこにいる)と考えられるようになりました。

石塔普及の時代が進んでいくと、埋葬地から離れたところに石塔を建てるほか、埋葬された遺体のすぐそばに石塔を建てたり(石塔の真下には遺体を埋めることはできません。遺体が土にかえった時、盛り土が陥没して石塔が倒れてしまうからです)、石塔の真下にカロート(カロウト、唐櫃)と呼ばれる空間を設けてそこに火葬骨を納めたり、ということが行われるようになりました。