子供のことを考え、共働きを諦める人がいる。ファイナンシャルプランナーの磯山裕樹さんは「正社員からパートになると、生涯年収は数千万円のマイナスになってしまう。退職を決断する前に、まずは夫婦2人が働き続けられる環境づくりを工夫してみてはどうか」という――。

※本稿は、磯山裕樹『夫婦貯金年150万円の法則』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

オフィス街の階段を上るビジネスマン
写真=iStock.com/shapecharge
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家計がうまくいっている夫婦が話していること

以前のご相談で、正社員からパートに働き方を変えた奥様がいました。「どうしてパートで働くことにしたのですか?」と質問したところ、「子どもが小学校から帰ったときに、家にいられるようにしたかったから」という家族の決断によるものでした。

正社員からパートに変えると年収は300万円から100万円に下がります。家計としては200万円の収入が減るので、夫婦だけでなく子どもも含めて家族で話し合いをされたそうです。

遠くの旅行ではなく近場の旅行になる、お菓子も今までのようになんでも買えなくなるなど、小学校から帰ったあと、お母さんが家にいるためには、今までの生活と少し変わることを子どもたちに伝えたそうです。そのうえでの子どもたちの決断が、「小学生のあいだは、パートとして働いてほしい」でした。

もちろん、旅行も、外食も、お菓子も今まで通り生活したいから、働いてお金を稼いでほしいという考えの子どももいると思います。子どもとの時間かお金か、そのバランスをとることは非常に難しい問題です。今回のように、時間を優先する夫婦もいると思いますし、共働きを継続してお金を優先する夫婦もいると思います。

正解はないですが、家計がうまくいく夫婦は、子どもも含めて家族全員で話し合いをしている傾向があります。

収入の壁を意識し過ぎると「人生」における損失に

家族全体の手取りを増やすために、「収入の壁」を気にされている人は多いと思います。税金や社会保険料の負担から、103万円、106万円、130万円、150万円、201万円などの壁があります。ちょうど本書の執筆中(2024年11月)に、103万円の壁が話題になっており、今後変わる可能性があります。

社会保険料や税金を払うと短期的な手取りは減ってしまいます。しかし、収入の壁を意識しすぎて働くことが、人生において損する結果になる可能性があります。今の損得だけでなく、長期的な目線で判断することが重要です。

社会保険料を払うことのメリットには次のようなことがあります。

・老後の年金が増える
・遺族年金や障害年金が増えるので、民間保険の削減になる
・傷病手当金や出産手当金が活用できる

収入の壁を意識してパートで働くことを否定しているわけではありません。子どもが巣立つまで、子どもと関わる時間を増やしたいという考えのもと、あえてパートで働くのは悪いことではありません。

世帯主の収入が高く、パートの収入で今の生活に余裕があるならそのままでいいと思います。しかし、収入を増やすことで、子どもの教育、豊かな老後の生活など、人生の選択肢が増えるのも事実です。