定年後に収入を得る方法にはどんなものがあるか。東京都立大学准教授の高橋勅徳さんは「たとえ『無能』であっても、勝手に人が集まるモノを用意することで商いが成立するのではないか。私の場合は、自宅の半分を埋め尽くす『あるモノ』で商売を考えた」という――。(第2回)
※本稿は、高橋勅徳『ライフスタイル起業』(大和書房)の一部分再編集したものです。
都立大准教授が考えた定年後の起業とは
筆者も含めて私たちは、好きなことや得意なことを仕事にして楽しそうに生活していたり、どうやっているかわからないけれど、どこからか仕事を生み出して気楽に稼いで生きている人たちが「確かに存在している」ことを知っています。
「楽しく、気楽に、ほどよく稼いで生きて行く」生き方を目指す「ライフスタイル起業」という欧州発の起業スタイルがあります。「ライフスタイル起業」の考え方は、彼らがどうやって「楽しく、気楽に、ほどよく稼いで生きて行く」状態を成立させているのかについて、理解する手がかりとして非常に有益なのではないかと思います。
「楽しく、気楽に、ほどよく稼いで生きて行く」という問題は、筆者にとって身に迫った現実的問題になりつつあります。筆者も今年(2025年)で51歳となり、そろそろ定年退職が視野に入り、老後の生活を考えねばならない時期になりました。
筆者が所属する大学業界の状況と、どうにも信頼できない政府の福祉政策を鑑みると、これから定年退職までに「楽しく、気楽に、ほどよく稼いで生きていく」状況を作らないと、安心して楽しめる定年後を迎えられないという危機感に襲われてしまいます。そこでこれまでの考察に基づいて、筆者が「楽しく、気楽に、ほどよく稼ぎながら老後を送る」ためのライフスタイル起業の可能性を、具体的に考えていきたいと思います。

