幸せに生きるために大切なことは何か。花まる学習会代表の高濱正伸さんは「他人の評価軸に人生を委ねず、自分の心の躍動に忠実に生きることだ。心のなかに“こだわり”を抱えていると、中高年になってから『自分の人生はなんだったのだろうか』と悩むことになる」という――。

※本稿は、高濱正伸『16歳のキミへ 自分らしくどう生きるかが見つかるヒント』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

悩むビジネスマン
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いつの間にかはまっている人生の落とし穴

いま、キミは「だれのゲーム」を生きているのだろう。気がつかないうちに、他人のゲームを生きてしまってはいないだろうか。

そんな問いについて考えるために、まず、ぼくたちがはまりがちな“落とし穴”の存在を知ることから始めましょう。

ネットやSNSで話題になるのは、だいたいがネガティブなメッセージです。

だれかの悪口。学校や職場の愚痴ぐち。ものごとの悪い面がフォーカスされ、いつもだれかとだれかが対立している。そういう情報ばかりを目にしていると、何をするにもネガティブな気持ちが先行してしまうこともあるかもしれない。

10代の子があこがれの職業について調べていたら、その仕事の“ブラック”(労働条件や就業環境が悪いということ)な面に関する投稿がたくさん出てきて、その世界に入ってみる前から、「こんな職業、自分には無理だ」と諦めてしまった、というような話も聞いたことがある。

ではなぜ、世の中はこんなにネガティブなメッセージであふれているのだろう?

それはぼくらの心に、いろいろな「こだわり」があるからです。

「こういうものだ」とか「こうじゃなきゃ、いやだ」とかいう、こだわり。「好き」も「嫌い」も表裏一体のこだわりです。

こだわり自体は、悪いことではありません。こだわりがあるから恋愛も充実するし、勝負に勝つとうれしい。

でも、残念な方向にこだわると、人生が苦しくなるし、場合によっては罪だって犯してしまうことがある。やる前から「どうせできないし」と自分をさげすんだり、だれかをうらやんで引きずり下ろそうとしたり。

いま、こんなにも世の中に愚痴やネガティブなメッセージがはびこっている背景には、次のような「4つのこだわり」があるんじゃないかと、ぼくは考えています。