時の総裁を蘇生させる装置に転化する

続投か、退陣か。石破茂首相(自民党総裁)の命運を賭けた権力闘争が自民党の総裁選管理委員会や参院選総括委員会を舞台に繰り広げられている。参院選(7月20日投開票)で自民、公明の与党が大敗したにもかかわらず、首相は責任を取らず、自民党内に「石破降ろし」の動きを呼び、臨時総裁選(総裁選前倒し)を求める声が高まったためだ。

自民党役員会に臨む石破茂首相=2025年8月26日、東京・永田町の同党本部
写真=時事通信フォト
自民党役員会に臨む石破茂首相=2025年8月26日、東京・永田町の同党本部

だが、森山裕幹事長ら執行部の判断で、臨時総裁選を実施するに当たって、党所属国会議員と都道府県代表の合計の過半数の要求には、書面が必要で氏名が公表されるとの方針が示されると、その勢いに衰えが見える。

臨時総裁選が成立しなければ、石破総裁の続投が信任される。時の総裁を辞任させる装置としての臨時総裁選が、その総裁を蘇生させる装置に転化してしまうのである。「首相続投」派にとっても「石破降ろし」派にとっても、後に退けない戦いになっている。

9月2日の自民党両院議員総会に、参院選総括委員会が大敗の要因を盛り込んだ報告を提出するところから、政局が再び大きく動き出す。森山氏は「責任を明らかにする」と述べているが、進退はどうなるか。臨時総裁選は果たして成立するのか。石破首相にどういう次の一手があるのか。

石破首相の延命を目論む「心理戦」

臨時総裁選については、8月8日の両院議員総会で有村治子会長(参院議員、麻生派)が議決機関の総会として、総裁選管理委員会に実施の是非を判断するよう申し入れることとし、これを逢沢一郎委員長(衆院議員、無派閥)が受け入れ、実施に向けて手続きを進めることに決まった。

党則6条4項は、総裁の任期満了前でも、党所属国会議員(295人)と都道府県連代表(47人)の総数(342人)の過半数(172人)の要求があれば、総裁選を行うと定める。

2001年に森喜朗首相・総裁に党内から退陣要求が出たのを契機に設けられた規定で、現職総裁も出馬できるが、党内過半数から辞任要求があれば勝ち抜くことは難しいとされ、事実上の総裁リコール規定と呼ばれている。