融資や投資を判断する審査の担当者。意外なことに彼らは利益や資産だけでなく、経営者の人間としての器を見ているのだ。銀行、ベンチャーキャピタル、商社の審査担当者が告白。(内容・肩書は、2019年7月5日号掲載時のままです) 

定量評価と定性評価

金融機関は融資する場合、これまで金融庁の「金融検査マニュアル」にならって審査を行ってきた。審査基準としては、大きく分けて「定量評価」と「定性評価」がある。

定量評価とは、売上高や利益、資産、負債といった、数値化された経営指標による評価。一方の定性評価とは、経営者や社員の能力、市場や企業の将来性といった、数値化が難しいデータによる評価だ。地方銀行の足利銀行で渉外(営業)を担当し、数多くの中小企業に融資した経験を持つ経営コンサルタントの村上浩さんは、融資審査の手順について、次のように説明する。

(文=野澤正毅 イラストレーション=唐仁原教久、中野伸哉)