事業の利益がそのまま所得になる個人事業主とは異なり、法人化すれば、あなた自身の給料額、つまり「役員報酬」を決めて、いくら利益が変動しても一定額を毎月受け取ることになります。ところが、役員報酬に関する決まりごとを軽視してしまい、法人設立時に報酬額の設定で失敗する人が多いのです。そんなリスクを回避するためのヒントや、役員報酬、賞与、配当の最適額の決め方について見ていきます。

押さえておきたい役員報酬の基本ルール

会社は、法人税法に基づいて役員報酬を決めなければなりません。まずは、役員報酬の基本と税金のかかり方について、個人事業との対比で理解していきます。

下の図は、個人事業と法人で同じ売上で同じ経費がかかった場合の、給与と税金についてまとめています。例えば、個人事業で売上が1000万円、かかった経費が500万円だった場合、差引利益500万円がそのまま個人の所得になります。所得税が超過累進課税で15〜60%かかるほか、住民税や個人事業税でも一定税率でかかるため、儲けが大きくなるほど税率も上がっていく仕組みです。

(構成=岩川悟、吉田大悟 図版作成=木村友彦)