「これは働く人たちの実感を表していて興味深いですね。『仕事のモチベーション=お金』で、収入アップを期待する人が多い現状を考えれば、残業を増やすなどしてさらに稼ごうとする人が多くいるように思うのですが、収入はもっとほしいけれど、負担を増やしてまで稼ぎたいとは思わない人が多数派のようです」
収入アップの手段として、副業を挙げている人が多いのも特徴的だ。「可能なら副業をして稼ぎたい」と答えた人が約74%。ここでは「副業」が何を指すのか明確ではないが、余暇の時間を使って苦労なく稼げる仕事といったニュアンスが強いように思われる。そんなオイシイ副業が簡単に見つかるか疑問だが、「お金はほしいが本業はこれ以上やりたくない」という本業に対する閉塞感がここにも顔を出す。一方、「副業」への期待感は、いまの状況でこれ以上の給料アップが望めないことの表れともいえるだろう。
「『自分の時間を犠牲にしても稼ぎたい』と答えた人が少数派だったことは、まさに日本のサラリーマンの仕事観が大きく変化していることを示しています。かつて働くことはお金を稼ぐ手段であると同時に自己実現の指標でもありました。だからこそプライベートな時間を注ぎ込んで余りあるものと思われていた。仕事より家庭や趣味を大事にするのは認められないといった空気もありました。しかし仕事は人生のほんの一部にすぎない、仕事のために自己犠牲を払うことは望まないと考える人が主流になってきた。これは大きな変化です」
「働くモチベーション=お金」ではあっても、それは莫大な額やなりふりかまわず稼ぎたいという意味ではない。
「自分の時間を犠牲にはしない。安心・安全を確保できる、ある程度のお金があればいいと考えているのでしょう」