「腰が痛くてもう働けない」と嘆くのはAさん(48歳)。先月まで倉庫のアルバイトで月7万円を稼いでいたが、慣れない肉体労働で椎間板ヘルニアになってしまった。

(PIXTA=写真)

大学卒業後、大手マスコミに内定したボーイフレンドと結婚。子ども2人は私立に入れ、家計費から買ったブランドバッグや洋服がクローゼットに入りきれないほどある。奥様雑誌に載っている幸福はすべて手にいれたはずなのに、計算違いは一向に上がらないどころか、減っていく夫の収入。

「何回も働いてくれって言われましたが、約束が違うと突っぱねました。私は仕事を辞め、午前様の夫に代わって育児を全部やっていたんだから」

しかし子会社を転々とする夫はまったく出世せず「年収1500万円」は今、100万円以上も減った。パートは次男の学費のため。車も手放した。痛む腰の治療費はかさみ、今はパートも続けられない。が、療養も兼ね、合格祝いと称し次男とともに北海道へリゾート旅行に行ってしまった。

長男は理系で関西の大学院へ進学志望。夫は「仕送りが怖い」と嘆いている。次男も、まだまだ10年は学費がかかる。それでもAさんは、自分は何も悪くないと思っている。ただ「夫が甲斐性なしなのだ」とは思うが……。

このケースはバブル時に結婚した夫婦にありがちなパターンだ。将来年収が上がることを想定してマイホームも子どもの学校も決め、昔ながらの消費傾向をやめられない。家計は妻が握っているが、きっちり収支を合わせていないので、夫が気づいたときにはもう毎月が赤字。働こうにも家庭に入ってブランクの長い主婦は低収入の非正規雇用という労働に追いやられる。「タガメ女にとって労働は不測の事態であり、苦痛」なのだと前出の本にもある。

しかしAさんの場合はまだかろうじて「リソース」が残っているからいい。専業主婦には「夫のリソースの崩壊」と「離婚」という2大リスクがつきまとう。リスクを見ようとしないので、不測の事態には自滅するしかないのが、タガメ女の特徴なのだ。