同時に現場のノウハウを主体的に学習する場として開設したのが「みずほ塾plus」だ。先輩社員を塾頭に入社2~4年次の社員15人で構成。半年間かけて現場の実践的なノウハウを学習する。塾ではテーマ設定も含めて塾頭を中心に塾生全員で自主的に運営する。今年4月から全国17カ所30クラスで始まっている。

「お客様の懐に入るといっても大企業と社長と中小企業のオーナーなどいろいろパターンも違う。先輩の具体的体験談を披露してもらい、若手社員が抱える悩みの相談や明日から使える具体的ノウハウを自由に語ってもらう場にしていきたい」(同業務チーム・中川信調査役)

そのほか、法人営業担当者が経験したビジネス上のエピソードをまとめた雑誌を定期的に発行するほか、法人営業担当者として幅広い経験と視野を広げるために取引先やグループ各社、中国視察など日常業務を離れた派遣研修も実施している。さらに専門スキル研修ではコミュニケーション力、セルフマネジメント力などのパーソナルスキルの学習のほかに、金融商品・金融市場知識などを入社年次ごとに体系的に学習する。

いうまでもなく現場力を高めるには座学だけではなくOJTは不可欠だ。大量採用により1人の先輩が3人を見なければいけない中で、いかに人材育成力を向上させるのか。まさに緒についたばかりの新たな研修システムがその鍵を握っている。

グループ各社を貫く共通の人事制度、それに基づく採用・育成・異動の仕組みはほかに例を見ない独自の経営システムであろう。グローバル化の時代にあってビジネスモデルや業態の多様化に伴い、多くの大企業で事業の分散、子会社化が進行している。それと同時に日本企業の強みであったロイヤルティに裏付けられた求心力も徐々に失われつつある。

みずほの取り組みが、求心力に支えられた人的資源の活性化を促す新たな経営システムとして認知を得るのか。始動して間もない3万4000人による壮大な実験の成果がその成否を握っている。