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※緑枠が相続人。
配偶者と子供がいる場合、配偶者が2分の1、子供が2分の1を相続する。子供が複数の場合は全員で2分の1。

「藤川先生、やはり父に遺言を書いてもらうべきでしょうか」

「もちろんそれがベストですが、せっかく書いてもらっても法律的に無効になってしまうケースがあるので注意が必要です」

遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」という3つの種類がある。自筆証書遺言とは、遺言を残す本人が自筆で書いた遺言だ。作成した日付、氏名、署名、押印に加えて、銀行名や口座番号など財産を特定できる情報が書き込まれていないと、法律的に無効になってしまう場合がある。また、本人の死後、すみやかに家庭裁判所に持参して検認(存在と内容の確認)を受ける必要がある。

一方、公正証書遺言は自分で書くのではなく、公証役場の公証人に作成してもらう遺言だ。専門家が作成するので内容に不備はまずなく、写しが公証役場に残されるため遺族の誰かに改竄(かいざん)されたり破棄されるといったトラブルが発生することもない。ただし、作成費用がかかり、証人が2人必要なため、作成するのがいささか面倒である。

3つめの秘密証書遺言は、遺言の存在だけを公証役場に証明してもらうもの。やはり内容の不備で法律的に無効になるリスクがあり作成する人は少ない。

「兄弟間の相続争いを防止するためにも公正証書遺言を作ってもらうのが一番いいでしょう。特に親が多くの財産を持っている場合は、突然、親戚が分け前を主張してきたりするので、なおさらです」

「でも公証役場で遺言を作ってくれなんて言いにくいですね」

確かに、いきなり遺言を作ってくれと頼むのは難しい。では、いま流行りのエンディングノートを書いてみないかと提案してみたらどうだろうか。エンディングノートには必ず遺言や相続に関する記述が出てくる。法律的に効力のある遺言の重要性を理解してもらえるはずだ。

「仮に公正証書遺言を作ってくれたとしても、私に残してくれるとは限りませんよね……」

「できるだけ数多くお孫さんと会わせてあげてください。そして、将来お姉さんともめないためにも、お父さんと率直に話し合われてみてはどうでしょうか」

向き合って、一族の将来について腹を割って話をすることこそ、最高の親孝行ではないだろうか……。

藤川 太
1968年、山口県生まれ。ファイナンシャルプランナー。東京、大阪、名古屋に拠点を持つ「家計の見直し相談センター」の看板相談員。教育費と老後資金の危機を憂える著書『サラリーマンは2度破産する』(朝日新書)や『1億円貯める人のお金の習慣』(PHP研究所)が好評。
(構成=山田清機)
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