2017年の日本人の平均寿命は、女性87歳、男性81歳と過去最高だ。仲良し家族も、遠方に離れて暮らす親子も、老親トラブルを避けては通れない。どんなトラブルが多いのか。どう対応すればいいのか。
相続についての相談の件数は右肩上がりに増えている
高齢化が進む日本。介護や相続、老後をどう生きるかは全国民の共通の悩みになっている。
親が認知症になってしまった、実家をゴミ屋敷にしてしまった、きょうだいのひとりにばかり資金援助をしている。
はたまた、親の介護の負担が自分にだけ集中している。老いらくの色恋沙汰や隠れた借金……。老親にまつわるトラブルの話は後を絶たない。対処しないまま、老親が亡くなると、残された親族間で、さらに大きなもめ事に発展する。
司法統計によれば遺産分割の調停事件の数も増えている。
「ここ数年で、とくに相続についての相談の件数は右肩上がりに増えていて、当事務所でも、2018年の相談件数が17年の1.5倍になる見込みで増えています」(法律事務所オーセンス・森田雅也弁護士)
今回、プレジデント誌では弁護士ドットコムの協力を得て、全国の弁護士にアンケート。弁護士ドットコムは、登録弁護士数が1万4000人以上、弁護士の3人に1人が登録している日本最大級の法律相談・弁護士検索ポータルサイトだ。ありがちなトラブルについて、全国130人の弁護士から回答を得た。
1位から4位のトラブルは、回答を見てみると、多くは親の介護の負担や援助が不公平だったなどの、親の生前の行いが引き起こす兄弟姉妹間トラブルだ。親が認知症を発症していた場合、トラブルは激化する。また、遺産が少なくても軋轢は起きる。
「遺産相続の相談は不動産が絡むケースが圧倒的に多いです。ただ、高額な不動産を持っていた資産家の相続でもめるケースよりも、相続税がかからない程度の不動産や預貯金しか相続財産がない、具体的には3000万円以下の相続財産でもめてしまうケースも非常に多いです。これは、全国的な傾向だと思われます」(森田弁護士)