離れて暮らす親が、実家をゴミ屋敷にした場合はどうか。

「相続財産については、通帳をはじめ家の中にある資料をもとに、どういう財産があるかを確認する作業が必要です。ゴミ屋敷だとその判断をするのに大変な労力がかかります。また、火事などの問題が起こったときには、相続人の責任になります」(森田弁護士)

親の再婚や恋愛も、トラブルの種となる。

「相談者は50代男性。相談者の父は再婚していて後妻にすべて相続させるという遺言が作成されていたことから、相談者は遺留分減殺請求を主張し、調停で争った」(弁護士・東京都)

つきなみだが、親やきょうだいと普段からコミュニケーションを取り、法的な知識を得ておくことが、「相続のトラブル」から自分を守る何よりの武器になるだろう。

▼誰にでも起こりうる、まさかの事態
父親、母親の入院中に兄が両親の預金を管理し、死亡直前に毎日のように50万円ずつ預金を引き出していた
被相続人死亡後、消費者金融から督促状が届き借金が判明した。預貯金はなく、債務超過であった
夫の両親の介護を15年間したが、夫の両親の遺産相続の際、寄与分を全く考慮してもらえなかった(大和幸四郎弁護士/武雄法律事務所)
祖母名義の農地があるも祖母は昭和20年代に死亡。相続登記されないままであったところ、数次相続が発生し相続人が50人以上に増えてしまった

(アンケート協力=弁護士ドットコム、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション)

森田雅也
弁護士
2003年千葉大学卒業。07年上智大法科大学院修了。中央総合法律事務所を経て10年法律事務所オーセンス入所。不動産法務・相続部門を立ち上げ、不動産・相続問題を年千件超扱う。
(撮影=的野弘路)
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