あきらめた部下を立ち直らせるには
アプローチをすぐあきらめてしまう部下をモチベートするには、組織的な取り組みだけでなく、上司の個人的な働きかけも重要だ。ただし、こうすれば必ず部下はやる気を出すという万能の方法はない。1人ひとりやる気を感じるポイントが異なるので、それぞれに適した動機づけを考える必要がある。
営業担当者がやる気を感じる主なポイントは、以下の5つだ。
(1)「獲得」
契約を取ることで達成感を得て、やる気に転化させる。刈り取り型営業で力を発揮するタイプなので、種まき型にシフトしつつある現在は目標を見失いがち。
(2)「成長」
成長実感によってやる気を高めていく。「どんどん成長しているな」という声かけが効果的。自分で成長を確認できるように、訪問件数や目標達成率などの各種指標を可視化しておくといい。
(3)「評価」
いわゆる「褒めて伸びる」タイプで、言葉によるインセンティブがもっとも効果的に働く。承認欲求が強いので、厳しい叱咤激励は逆効果になる恐れがある。
(4)「征服」
難題を克服することに喜びを見出すタイプで、みんなが避けたがる顧客ほどチャレンジスピリットを持ってアプローチする。褒めるより叱咤激励のほうがやる気につながる場合が多い。
(5)「責任」
仕事への責任感や組織へのロイヤルティが強く、部下を持ったり数字に責任を持つ立場になると力を発揮する。金銭より、地位やポストによる報酬でモチベートされやすい。
これら5つのポイントは、時代とともに変化している。営業マネジャーやその上司が育った時代は、「獲得」「責任」によってモチベーションのマネジメントが行われてきた。それに慣れているマネジャーは、「成約までもう少しだから頑張れ」「チームリーダーとして相応しい働きをしろ」という叱咤激励で部下もやる気を出すと考えがちだ。