――13年の計画を見ると、キリンビール売上高が対前年比マイナス1.2%です。かなり控えめではないですか。
【三宅】よくそう言われますが、ビール各社はそれぞれ市場予測をマイナス2~3%としているので、マイナス1.2%が成功するとシェアは上がるのです。この計画には従来の反省もあって、この3年間ぐらいを振り返ると当初の販売目標を途中で下げる一方、利益確保のためにマーケティングコスト等にブレーキをかけていました。そのため広告や店頭活動が中途半端で終わってしまい、結果、ブランド力が相対的に下がってきています。従って絵空事のような計画を立てるのではなく、ちゃんとブランド力を育てる施策を打てるようにしようと。15年には12年と比べ増収増益に持っていく。そのかわり13年はブランド力強化のためのコストをしっかり確保したので、あまり見た目のよくない計画になっているわけです。ただ、2012年の営業利益をのれん償却前で見ると、すでに海外が全体の33%を占めています。もし国内一本足の経営だったらこんな危険なリスクを冒すことはできません。海外事業がしっかり利益を出しているからこそ、あえてこういう計画ができるのです。
1948年、東京都生まれ。70年慶應義塾大学経済学部卒、麒麟麦酒入社。93年ハイネケン・ジャパン副社長、2004年常務執行役員首都圏地区本部長、07年の持ち株会社移行でキリンビール社長、09年キリンホールディングス副社長などを経て10年より現職。