結婚を親に反対されたから、私の人生はおかしくなった

米田家の赤字の原因となっている長女のこづかいについては、「金額を減らすべき」というアドバイスをするのは簡単なことだし、まっとうなことだろう。しかし、長期間働いていない女性の場合、一筋縄ではいかないケースが多い。米田家においても、長女はある理由から親を恨んでおり、親を苦しめることで、自分自身の精神を保っている面があるからだ。

長女の成育歴をご紹介しよう。高校までは、ごく平均的な女性だったらしい。社交的ではないものの、友達もいる、どこにでもいるような学生だったという。高校卒業後は、短大に進学。短大卒業後は、食品メーカーで4年ほど働いた。

食品メーカーで働いているとき、「結婚したい」と思える男性と出会って、交際。長女は結婚を強く望んだが、その相手は定職を持たないフリーターであった。「結婚しても、生活が成り立たないのではないか」と心配した両親は長女の結婚を反対し、結果として破局してしまった。

両親の反対だけが破局の原因ではなかったかもしれないが、「両親が結婚を反対したせいで、私の人生はここまでこじれてしまった」と、長女は今でも感じている。フリーターの彼と別れた後、長女は精神的に不安定となり、仕事に行けなくなった。数カ月、休職をした後に退職。その後3年くらいは自室にひきこもり、両親との接触も避けて暮らしてきたそうだ。

親として、定職を持たない相手との結婚を反対するのは、ほめられた行いでないかもしれないが、理解できる部分もあるように思う。だが、結婚まで考えていた相手との破局が、長女の人生を大きく変えてしまった。その原因はすべて親にあると、長女は考えている。

「親を心の底から強く恨む」。これは米田家のケースに限らず、女性のひきこもりでは、よく見受けられるケースといえる。

次女は双極性障害と診断され、障害年金を受給中

次は、米田家のもう一人の娘。次女に話を移そう。次女は小さいころから内気で、学校になじめなかった。中学生のときは不定期に学校に通うなど、不登校気味であった。高校には進学したものの、2年生の夏休み明けに退学した。高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)を受ける話もあったが、実際には試験を受けずに現在に至っている。

高校を中退したあとしばらくは、自宅から出られない時期もあったが、病院の受診にはつながっていた。病院を受診した結果、20代前半に双極性障害と診断されて、障害年金の受給につながった。障害年金がもらえてからは、自分のためにお金を使えるようになったので、今では外出ができるようになっている。ただし次女は、人生で一日も働いた経験がなく、今後も働く意思はないという。