業種別で最も多いのはサービス業

2位にはネイルサロンチェーン「FASTNAIL(ファストネイル)」を運営するコンヴァノ(302.8万円)、3位にはガラス基板などを手掛ける倉元製作所(315.9万円)がランクインした。同社も宮城県に本社を置く。4位はANAP。レディースファッションブランドを展開する。

上位10社にランクインした企業のうち、3社は平均年齢が20代、2社が30代前半と若い。従業員数も比較的少ない。

例えば、5位のイタミアート(316.8万円)は平均年齢28.3歳、9位のジンジブ(327.3万円)は平均年齢29.8歳と、若手中心の組織構成であることがうかがえる。

従業員数で見ると10位のSaaS事業のテクノロジーズ(330.4万円)は従業員数わずか12人だ。一方で、300人以上の従業員を抱える企業も存在する。7位の食材宅配サービスを手掛けるショクブン(322.6万円)は374人、22位の製造請負などを手がけるウイルテック(356.7万円)は3183人と、比較的規模の大きい企業もランクインしている。

500社を業種別に見ると、サービス業(旅行代理店、介護関連、ホテルなど)が139社、小売業(外食、食料品含む)が119社と続いた。小売業の内訳ではファッション関連企業や外食関連企業が目立った。

上位50社では小売業は20社と4割を占め、サービス業も14社と高い割合を示している。

約222万円の年収減になった企業

ワーストランキングに金融機関や商社は見当たらず、製造業も一部を除いてほとんど含まれていない。これは、高収入ランキングとは対照的な傾向であり、業種による給与格差が明確に表れている。

前年比の増減を見ると、ほとんどの企業で微増または横ばいの傾向がある。しかし、中には大きく減少した企業も存在する。

例えば、157位のリミックスポイントは418.2万円で221.9万円の減少となった。かつて楽天のナンバー2だった國重惇史氏が社長を務めたことでも知られる。法人向けの電力小売りが主力、金融投資事業なども手掛けている。2025年1月末には総額20億円の暗号資産を購入すると発表。これを含めた暗号資産の総投資額は100億円となるという。

2024年度の「平均年収ワースト500ランキング」では平均年収400万円未満の企業は103社だった。前回は133社だったので、30社減ったことになる。

今回のワースト500位の企業の平均年収は434.2万円で、前回のワースト500位の平均年収418.8万円と比べると、15.4万円高い。物価高に伴って企業の賃上げの動きが「ベスト500」だけでなく「ワースト500」の企業にも波及していることを物語っている。

ただ、今回のランキングではこれまでと同じく小売業やサービス業などでの賃金水準の低さ、東京と地方との格差が改めて浮き彫りになっている。産業構造の課題は依然として横たわったままだ。