やたら眠い、だるいにも理由がある

生理中、体が重い、倦怠感を感じることに心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。このような症状にもエストロゲン、プロゲステロンが関係しています。

エストロゲンはエネルギー代謝を高め、気分を安定させる作用があります。ところが、生理前後にエストロゲンが急激に低下することでエネルギー不足となり、疲労感が増加します。

一方、子宮を収縮させる作用があるプロスタグランジンが過剰に分泌されることで、炎症を引き起こし、痛みだけでなく全身の疲労感を助長します。特に、この物質が血流を通じて全身に広がることで、だるさや体の重さを感じやすくなるのです。

さらに、プロゲステロンは眠気を誘発するホルモンですが、生理前後は分泌の低下により眠りが浅くなる場合があり、睡眠の質が低下、十分な睡眠が取れないことで疲労感が蓄積します。

*Premenstrual syndrome and sleep disturbances: Results from the Sao Paulo Epidemiologic Sleep Study:Psychiatry Res 2018 Jun; 264: 427–431.

ほうれん草やバナナは下腹部痛に効く

こうした心身に影響を及ぼす生理痛を和らげるためにオススメの栄養素と、それらを多く含む食材や食生活をまとめました(図表1)。

マグネシウムは筋肉の収縮を緩和し、過剰な子宮収縮を抑えて下腹部痛を和らげます。魚介類や魚油に含まれるオメガ3系脂肪酸(EPA・DHA)には抗炎症作用があり、プロスタグランジンの過剰生成を抑制します。

片頭痛に効くのは鉄とビタミンB3(ナイアシン)です。鉄の補給によって、貧血を防ぎ、脳への酸素供給を改善することで頭痛が軽減します。また、ナイアシンの摂取量が多いと片頭痛の頻度が少なくなることが示唆されています。

*Association between Dietary Niacin Intake and Migraine among American Adults:National Health and Nutrition Examination Survey Nutrients. 2022 Jul 25; 14 (15) : 3052.

オメガ3系脂肪酸は、片頭痛を予防する可能性があることが示されているほか、ケトジェニック(低炭水化物)食や低カロリー食も片頭痛予防に有効な戦略であると考えられています。

*Long-chain omega-3 fatty acids and headache in the U.S. population:Prostaglandins Leukot. Essent. Fat. Acids 2018; 135: 47–53.
*Association of diet and headache:J. Headache Pain 2019; 20: 106.