リーマン・ショックのような歴史的な大暴落は起きない

しかし、リーマン・ショックのような歴史的な大暴落は、今後はそうそう起きないと思っていい。そもそも現在は、リーマン・ショックの時とは金融環境がまったく異なる点を頭に入れておく必要がある。

当時は、投資銀行をはじめとした国際金融資本が直接ポジションをとって取引を行なっていた。また、リスクが連鎖しやすい構造を抱えていた。

サブプライムローン会社の破綻がきっかけとなり、投資銀行の信用不安、モノライン保険会社の破綻(資本不足で保険が機能しない)、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ、発行体の信用リスクを対象とするデリバティブ)の無理な引き受けなど連鎖的に問題が生じた。

これらに関して、現在は規制が強化されており、一つのほころびが恐慌へと連鎖発展するリスクは格段に低くなっている。株価は、経済の実体に合わせた上昇こそが望ましい。経済の身の丈を超える上昇はまさにバブルで、壊れるときに一気に崩れる。

現在、投資ファンドでも銘柄を定期的に入れ替えており、より適正な成長が進んでいく。2025年は当面は踊り場状況が続くと予測されるが、4万5000円程度まではスルスルと上昇するかもしれない。政治的混乱がなければ、その後、5万円をうかがう展開になるだろう。

NISAが株価上昇に貢献。累積買付額は41兆円超に

2024年に4万円を突破した要因として、新NISAの存在も無視できない。

新NISAでは、投資上限額が年間360万円まで引き上げられ、その内訳は成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円となっており、両者の併用が可能になった。売却した分だけ、翌年に非課税枠が復活するなどの特徴がある。

従来のNISAは一般NISAが120万円で、つみたて(積立)NISAは40万円が上限だった。投資の上限額は2倍以上になったわけで、そのかなりの部分が東京市場に投じられたことは想像に難くない。

金融庁の公表資料によると、新NISA開始後の2024年3月時点でのNISAの口座数は約2323万件となっており、2023年末からプラス9%となっている。累計買付額は、プラス17%の41兆6000億円。新NISAによって、市場は今後、さらに活況を呈するだろう。

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