これから成長する企業を見極めるにはどうすればいいのか。みずほ証券チーフ株式ストラテジストの菊地正俊さんは「これから低PBR株の逆襲が起きる。特に直近でトップが交代した企業では、時価総額が大きく変わる可能性がある」という――。

※本稿は、菊地正俊『低PBR株の逆襲』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

日本企業の「トップ」に厳しい目
写真=iStock.com/kuppa_rock
日本企業の「トップ」に厳しい目(※写真はイメージです)

日本企業の「トップ」に厳しい目

世界でAI化・DX化・GX化などのメガトレンドが起こる一方、マクロ経済的な不透明要因も多いなか、企業パフォーマンスにおいて社長の意思決定が果たす役目が一層重要になってきています。

株式持合についても、昔の経営者が相手企業と合意して持ち合ったため、現経営陣はなぜ持ち合ったのか理由を説明できない企業もあります。

社長と会長でどちらが実力者かわからない企業も多いため、法定用語ではありませんが、CEOと付けて最高意思決定権者を明確にしてほしいという外国人投資家の声もあります。

自分を指名してくれた前社長(現会長)に逆らうことはできないという現社長も多くいますが、社長交代は過去のしがらみを打破して、経営改革を進めるチャンスです。

中小型株運用に強みを持ついちよしアセットマネジメントの秋野充成CIOも、『週刊エコノミスト』2023年6月20日号で、「PBR1倍割れでも、改革が期待できるトップ交代銘柄は注目だ」と述べました。

「PBR1倍割れ」でも期待できる

大手運用会社のファンドマネージャーやエンゲージメント担当者でも、時価総額が1兆円を超えるような大企業の社長と1対1でミーティングできることはほとんどありません。

大企業は証券会社や運用会社のアナリスト向けに、年に数回、社長のスモールミーティングを開催することが多いようです。

一方、時価総額が100億円未満の中小型企業のオーナー系社長であれば、運用資産数千億円以上を持つ運用会社のファンドマネージャーやアナリストに対して、自社の強みを積極的にアピールして、時価総額を上げたいと思うでしょう。