日清オイリオグループは目標引き上げ

PBRが約4倍と高い味の素は、以前から人財マネジメントや人的資本の開示の株式市場における評価が高いのですが、2023年5月11日の「2024年3月期業績予想及び企業価値向上に向けた取り組み」に、「すべての無形資産の源泉となる人財資産の強化により、イノベーションを創出していくことが、企業価値向上につながる」、「従業員持株会加入者への特別奨励金を支給した」、「中期ASV経営2030ロードマップについて、従業員と対話を始めている」と記しました。

いくら経営者が立派な企業価値向上策を打ち出しても、従業員に浸透し、従業員がやる気を出さなければ絵に描いた餅になるため、味の素の施策は他の企業の参考になるでしょう。

PBR約0.8倍の日清オイリオグループは2023年5月19日の決算説明資料で、ROE目標を2024年度8%、2030年度10%と引き上げる(2022年度実績は7%)と同時に、中期経営計画の進捗状況として、食のバリューチェーンへの貢献や人材マネジメントなどを説明しました。

日清オイリオグループは目標引き上げ
写真=iStock.com/Just_Super
日清オイリオグループは目標引き上げ(※写真はイメージです)

女性活躍推進策の評価が高い大和証券

大和証券グループ本社は以前から女性活躍推進策の評価が高いのですが、2023年5月31日の経営戦略説明資料に、「サステナビリティの観点でビジネスに注力した結果、MSCIで最上位格付のAAA、CDPで最高評価のAリスト企業に選定された」、「競争力の源泉は人材なので、人材の価値を最大限引き出すために、自己申告制度・公募制度の導入、エンゲージメントサーベイ、健康経営のさらなる進化」などを行なっていると記しました。

大和証券グループ本社は、2024卒の学生を対象に文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が行った「就職ブランドランキング調査・後半」で、伊藤忠商事、日本生命に次いで第3位に選ばれた一方、野村證券は120位にとどまりました。

丸井グループの人的資本経営も有名であり、HPに掲載した人的資本経営に関する資料で、「人の成長=企業の成長」との方程式を根本とし、入社3年以内の離職率が11%と、世の中平均の31%の3分の1水準とのデータ等も開示しました。丸井グループはHPで、「健康経営銘柄」や「なでしこ銘柄」(女性活躍推進)に6年連続選定されたともアピールしています。

日本製鉄は2023年5月10日の決算説明資料で、経営戦略の適切な開示・発信により、高水準の利益の安定的確保と利益成長、カーボンニュートラル・ビジョンの実現性・経済性確保への取り組みについての市場の理解の促進・浸透のための努力を継続すると述べました。