時価総額は社長のプレゼン次第

社長と個別ミーティングの機会がない機関投資家は、社長のスモールミーティング、決算説明会、マスコミにおける発言などを通じて、社長の統治能力を測ろうとします。

米国大企業のCEOは、若いときからプレゼンの修業を行ない、大学時代の様々なディベートをくぐり抜けてきた人が多いので、まさにプレゼンの猛者といえるようなCEOが多数います。日本ではプレゼンの技術を学ぶ機会がないまま、出世する社長が少なくないため、原稿の棒読みなど聞くに堪えない社長プレゼンも時々あります。

社長のプレゼン次第で、企業の時価総額は大きく異なってしまうので、社長には話し方や伝え方などを学んでほしいものです。

時価総額は社長のプレゼン次第
写真=iStock.com/takasuu
時価総額は社長のプレゼン次第(※写真はイメージです)

社長の交代発表が相次ぐ

日本の主要企業の社長は4〜5年で交代することが多いのですが、2023年になって在任期間が長い社長の交代発表が相次ぎました。PBRが約0.3倍のダイカスト大手のアーレスティは、25年5カ月ぶりの社長交代を発表しました。

アーレスティでは創業家出身で、42歳と若い高橋新一社長が就任したので、経営改革を期待したいものです。

アーレスティは2023年7月6日に発表したコーポレートガバナンス報告書に、「成長投資と株主還元、健全性と財務レバレッジを最適にバランスさせる当該財務運営により、ROE9%とPBR1倍の達成を目指してまいります」と記載しました。

PBRが約0.9倍の日本板硝子では、8年ぶりの社長交代が行なわれました。日本板硝子が2023年8月25日に発表したコーポレートガバナンス報告書は31ページと充実しており、原則5‐2で「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画RP24の目標達成に向けた取り組みに加えて、次年度から開始される予定の次期中期経営計画の策定においても、十分な現状分析と検討を実施した上で開示する予定としている」と記載しました。