NISAが過熱するほど日経平均株価は長期的に上昇

じつは、NISAが過熱すればするほど、日経平均株価の長期的な上昇が見込める。それはなぜか。NISAの仕組みをわかりやすくして考えてみよう。

つみたて(積立)NISAは、毎月株を買い増していき「平均値」を取っていく投資だ。そのため、最終的に、平均購入価格の上昇率が平均インフレ率や預金利回りを上回った分だけ利益が出ることになる。

たとえば年率3%以上の上昇があれば、そのまま利益になる。短期的に儲けようと思っても、新NISAは爆発的に儲かる仕組みになっていないのだ。今すぐに大きく儲けたいなら、成長枠で個別銘柄を売買すればいい。

「個別株投資はリスクがあるからやらない」「新NISAで十分だ」という投資初心者の場合、株の長期保有が見込めるため、多少の上げ下げで売りに出すようなことは考えにくい。

要するに、短期間に売買を繰り返して利鞘を取る、あるいは損切りをする投機筋とは異なり、資産形成のための投資行動をする人が増えれば増えるほど、その影響は日経平均の長期的な上昇に寄与すると考えられる。

そのような動きが緩やかな一般投資家が増えていくことを踏まえると、2025年は調整局面が続き、4万円前後から4万5000円あたりでの振幅と考えておけばいいと思う。

マグニフィセント・セブンの行方は

ニューヨーク市場も、日本の株式同様、振幅はあるものの全体として好調を維持している。株価上昇を支えているのが、マグニフィセント・セブン(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラ)と呼ばれるAI(人工知能)に関連するテクノロジー企業の銘柄だ。

「マグニフィセント・セブン」という言葉の本来の意味は、1960年に製作された西部劇アクション映画のタイトル(邦題『荒野の七人』)で、その内容は黒澤明監督の『七人の侍』(1954年)の翻案である。この大人気を博した映画にちなんで、現代を代表する7つの大企業をまとめた呼び名として定着した。

このマグニフィセント・セブンの時価総額は、2024年1月の時点で12兆ドル(約1800兆円=1ドル150円換算)。東証プライム市場の時価総額(同時期、約1001兆円)のおよそ1.8倍にもなる。わずか7社が東証プライム市場1651社(2024年4月1日現在)の時価総額を上回っているのである。