風邪に効く食べ物はない
毎年、冬になると、「インフルエンザや風邪を予防したり、症状を和らげたりする食べ物はなんですか?」と問われるので、「科学的根拠、エビデンスの強いものなどありませんよ」と答えます。
ヨーグルトの企業などが盛んに、動物試験やヒトが食べる小規模の試験結果で「効果があった」とアピールして売っています。しかし、大規模な試験で確認しエビデンスが強まった、という話は聞こえてきません。機能性表示食品では、乳酸菌摂取などによる「免疫機能の維持」をうたう製品も販売されていますが、エビデンスとして強いとは言えません。
米国立補完統合衛生センターが、簡潔な情報発信をしています。インフルエンザに役立つ食品や民間療法など、補完的な対策は「ない」。
風邪については、亜鉛サプリメント、鼻の洗浄、子どもの夜間の咳を鎮めるためのはちみつ、重度の身体的ストレス下にある人のビタミンC摂取、ヨーグルトなどプロバイオティクス、瞑想については「見込みはある」。
しかし、ほとんどの人が摂るビタミンC、キク科のハーブのエキナセア、ニンニク、アメリカニンジンについては、「エビデンスが矛盾していたり不十分であったり、ほとんど否定的」というのが結論です。
同センターは、「インフルエンザと風邪のための天然物についての5つの助言」という記事でも同様の内容を解説していますが、1番目の助言は「インフルエンザに対抗する最高の予防策は、ワクチン」というものです。
ダイエット食品の効果はわずか
健康食品でいちばんの売れ筋はなんといってもダイエット食品です。機能性表示食品としてこれまで届出された約7000件の製品のうち2500件は、脂肪に関する機能性をうたうもの。トクホでも2割強が脂肪をターゲットとしています。
さまざまな形態の健康食品の中でも、手軽にとれるサプリメントが人気です。しかし、栄養学者は「摂取するエネルギーよりも消費するエネルギーのほうが多ければ痩せるというだけ」と口を揃えます。
ダイエット食品の「体内での脂肪の燃焼を促す」などの売り文句も、根拠となった論文を読むと、効果があってもほんのわずか。食べ過ぎや運動不足などがすぐに帳消しにしてしまいます。