「反り腰はダメ」の本当の意味
まず正座になります。ひざなどの問題で正座ができない人はイスに腰かけても結構です。やることは同じです。
次に、猫背になります。良い姿勢のすべての起点は骨盤です。正座の状態で骨盤を回し落としていくと、猫背になります。まず1回猫背になって、ダメな人間になります。次に、両手を腰に当てて、骨盤の動きを確認しながら猫背を解除します。
小指が後ろ方向に行き、親指が前方向に動きます。骨盤の回転です。回転によって背骨が押し上げられ、その結果、胸(胸骨)がナナメ上に上げられ、顔が前を向きます。正座で行うと分かりやすいでしょう。
骨盤を動かしてみて、「反り腰」になったように感じたかもしれません。よく「反り腰はダメだ」と聞いたりしますが、本当にそうでしょうか? 反り腰がよくないのは、骨盤の力が背骨に連動して伝わっていないからです。骨盤の回転が、背骨をつぶして胸椎を押し上げる力につながっていれば、それはとてもよいことなのです。ぜひこれを意識してやってみてください。
さらに、正座の状態で両足を立てた「跪坐」だと、より分かりやすくなります。ポイントは、しっかり両足に自分のお尻の重みを乗せきることです。自分の重みで足が痛くなることを嫌って、上半身を前に傾ける人が大変多いのですが、ここが辛抱のしどころです。
体の実力がわかる「助さん格さん座り」
本当にキツくなってきたら、体勢そのものを解除して休憩し、またトライしてください。足が痛くても、自分を預けられるものは自分以外にないのです。このポイントを必ず忘れないようにしてください。これが、自分の体だけで姿勢を完結させる練習になります。
自分以外を頼ると、どんどん弱っていきます。体が壊れていく第一歩です。自分の体は、自分の体の中で収めきりましょう。
せっかく「跪坐」の状態になったので、さらに発展させましょう。どちらの足でも結構ですので、跪坐の状態から少し足を上げます。この体勢を、私は「助さん格さん座り」と言っています。この後で立ち座りの途中姿勢にもなりますし、整体的にはその人の実力を示す姿勢でもあります。
まず、この状態で長時間静止していられるか、どうか。長ければ長いほどよく、その人に実力があることを示しています。この体勢は、御用を聞いている昔の番頭さんのポーズです。小僧さんが親方に叱られているポーズでもあります(笑)。この状態でいつまでも人の話が聞けて、用事が終わったらサッと立ち上がってその場を去らないといけない。それが本来の日本人でした。
これはもう慣れるしかありません。修行です(笑)。