相沢とメンバーの間では、飲み会の席や同行営業の前後にプライベートに踏み込んだ話がよく交わされる。
「仲間として同じ目標に向かって戦い、どこに誰を充てるのかといったリソースの最適化を図るには、メンバーがどういう人物かを知ることが重要」(相沢)だからである。入社2年目の小川理奈は相沢と家族の話をよくすると言う。
「同行営業の行き帰りに『昨日、父とこういう話をしました』と話すと、『そうなんだ、うちではね』とご自身の話もしてくれます」(小川)
昨今の若い社員はプライベートの話を好まないとよく言われる。なぜ彼らは相沢に胸襟を開くのだろうか。
小川にとって相沢は初めての上司である。気軽に話や相談ができるようになったきっかけは、初めて顧客からクレームを受けたときのことだった。
「相沢さんと一緒にお客様へお詫びに行くとき、私はもう泣き出しそうなくらい動揺していたんですが、『安心しなよ。僕、謝るの嫌いじゃないから』と言ってくださって。そして『今回のことは次なくせばいいから、一緒にどうすべきか考えよう。そのために僕がいるんだから』と言われ、本当に相談できる人だと感じました」(小川)
小川はその後、社の新卒営業社員の中から選ばれる新人賞を獲得した。
相沢のチームづくりには家庭的な温かさが感じられる。それは最初から方針として掲げ、意識して取り組んできたことだという。
「着任したとき加藤支店長から『メンバーは家族』と言われたことが強く印象に残っていて、そういう目線でメンバーを見ていると日々成長していく姿がすごく嬉しいんですね。さっき私は意識してニコニコしていると言いましたが、このメンバーと一緒に仕事をすること自体が楽しくて、自然と笑顔になっているのかもしれません」(相沢)