「わかってもらいたい」という強い欲求がある

上手に説明できる人は行動を求める、
できない人は理解を求める。

レストランや食べ物を紹介するようなネットの記事で、最後に「いかがでしたか?」で終わる文章を見たことはないでしょうか?

実は記事の内容に自信がないことを自ら明かす書き方の典型です。

写真=iStock.com/gorodenkoff
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同様の例は、ビジネスの場面でもよく見られます。

たとえば、新しいシステムを紹介するプレゼンの締めくくりで、こんな言葉を耳にしたことはありませんか?

「この新しいシステムが、いかに業務効率を向上させるか、ご理解いただけたでしょうか?」

分野やテーマが違ったとしても、なんとなくこんなフレーズに見覚えがある人も多いのではないでしょうか。

しかし、先の例と同様に、「説明下手」な人がよく使っている典型例なのです。

話の途中なら、いいのです。しかし、これで終わってはいけません。

では、「説明上手」な人は、同じ状況でどのように締めるのでしょうか。

「来月から、新システムの試験運用を始めたいと考えています。初日の朝9時に、30分程度の導入研修を行いますので、全員の参加をお願いできますか?」

この2つの例の違いには、一体どんな違いがあるのでしょうか?

説明下手な人は、相手の理解や共感を得ようとします。

彼らの頭の中には、「わかってもらいたい」という強い欲求があります。自分の考えや提案の素晴らしさを相手に理解してもらうことが、最大の目標になってしまうのです。

具体的な判断や行動を促し、建設的なコミュケーションにつなげる

一方、説明上手な人は、具体的な行動や決定を求めます。

明確な次のステップを提示することで、相手に具体的な判断や行動を促します。

これによって、単なる理解から実際の成果へとつながりやすくなるのです。

説明下手な人の「ご理解いただけたでしょうか?」という問いかけに対して、相手は単に「はい、わかりました」と答えるかもしれません。

しかし、これでは実際にシステムが使われるかどうかは不明です。

一方、説明上手な人の「導入研修に参加できますか?」という問いかけは、具体的な行動を求めています。

これにより、相手は実際の行動について考え、決断を下すことになります。

さらに、相手が行動を取らない場合でも、その理由を直接聞くことができるのです。

「初日の朝は難しいので、別の時間に設定できませんか?」といった具体的なフィードバックを得られる可能性が高くなります。

これで、より建設的な対話につながります。

結果として、具体的な成果を、より短時間で、そしてストレスの少ない形で、生み出すことができます。

「理解してもらえたか」を確認するのではなく、具体的にどんな行動を取ってほしいのかを明確に伝えるようにしましょう。

これまでとは違う反応が得られたり、より効果的なコミュニケーションにつながるはずです。

説明上手な人は、内容と行動をセットにして相手に伝える