「雌伏の5年」で弱点を克服できたかどうか。第1次安倍内閣で行政改革や規制改革、公務員制度改革などを担う特命担当相だった渡辺喜美(現みんなの党代表)は、再登場の安倍の姿勢を問題にする。
「第1次内閣では本当に官僚機構を敵に回して、天下り規制という官僚統制メカニズムの生態系の頂点の構造にメスを入れようとした。だが、年金問題で官僚の自爆テロ攻撃を受けて追い込まれた。今回は前回の失敗に懲りて安全運転でという感じです。他派閥の力を借りて総裁選に勝ったため、政権基盤も脆弱。大胆な金融政策や積極財政は自民党内で反対する人はいない。成長戦略と称しているものも大昔の官僚主導型のばらまきにほかならない。改革路線というよりも霞が関を取り戻す体制の内閣になっている」
「ニュー安倍」の器と力量は
安倍は参院選を乗り切り、衆参で過半数を確保して、長期政権を築き、その後に封印中の安倍路線の本格始動というシナリオを描いているに違いない。
入り口の参院選を乗り切るには、株高と円安が続き、景気回復が実現するかどうかがキーとなる。もう1つは体調だ。
前掲の「わが告白 総理辞任の真相」で「このままの状態で総理大臣としての職責を果たすことができるか、正しい判断ができるか、国会に十分に対応することができるか――我が身を省みるに、誠に残念ながら、それは不可能と認めざるを得なかった。それが辞任を決断した最大の理由」と書き残している。今回も、在任中に国家的危機に直面したり、政治的に窮地に陥ったりして、極度のストレスに見舞われる事態が起こりうる。そこで再び「首相の職責、正しい判断、国会への対応」が不能となることはないのか。