お客が帰ってくるしかけ

メリット⑥間隔の空いたお客が戻ってくる理由になる

一年中、ずっと途切れずに来てくださるお客というのは、とても大事ですが、数が限られます。また、新規客の数が、毎年減っていく離反客の数を上回れば売上が減りませんが、これが難しいことは、ご存知だと思います。足が遠のいたお客にお店を思い出してもらえて、久しぶりの来店を期待できる。これも大きなメリットです。

難波三郎『小さな飲食店のお客が減らない値上げ』(秀和システム) 

マクドナルドでは、月見バーガーだけでなく、夏のハワイバーガーシリーズや冬のグラコロバーガーがあります。

吉野家だと夏の牛皿麦とろ御膳、冬の牛すき鍋膳がありますし、ロイヤルホストは1983年から夏のカレーフェアを続けています。これらの商品についているファンが、店外のポスターやノボリを見ると帰ってくるのです。

そう考えると、「冷やし中華、始めました!」というキャッチコピーを考えた人は偉大です。「夏に食べやすい商品が、今年も帰ってきましたよ!」と、離れていたお客に呼びかけているわけです。

このように、季節感のある期間限定商品は強いです。

しかし、吉野家で不定期に登場する黒カレーや親子丼のように、時々しか売らないけれど、確実に売れる商品も有効です。

ちなみに吉野家の親子丼は、牛丼(並)より15%ほど高いです。そう、鳥を牛より高くできるのが季節商品なのです。

メリット⑦宣伝しやすい

期間限定商品は、売り込みやすいです。ずっと変わっていないグランドメニューの中に差し込みメニューを入れて、期間限定だと訴えると、目立ちます。

高額帯の商品は、その日には売れなくても、「おいしそうだな。よし、給料日の後には食べてみよう!」などと思ってもらえる可能性があります。