提供スピードを上げて時間当りの売上を増やす

次に、ウェイティングがかかるお店の場合ですが、人時売上高をよくするには、人件費を下げるより、時間当りの売上を増やす方法を考えるといいでしょう。

売上は、「客数×客単価」です。最近、大手のファストフードチェーン店が成功している理由は、持ち帰り増加による客数(出数)増加と、季節商品による客単価アップです。

ここでは、客数の増加について説明します。

ウェイティングがかかるお店の場合、提供スピードを速くすれば1時間当りの売上が増えて人時売上高が良くなります。あるラーメン店の例を紹介しましょう。

そのお店のラーメンは、どのSNSでも高評価でした。

社長は中華の料理人出身なので、調理の知識も豊富です。

メニューはラーメンの他に、チャーハンがあります。

麺の湯切りもチャーハン作りも、社長がやります。

あるときから、高菜チャーハンを導入したら、とても売れたそうです。

さらにお客からのリクエストを受けて、キムチチャーハンも導入しました。おかげで、ピークタイムには行列ができます。

いかがでしょう、売上増加のヒントが見えましたね?

そうです、チャーハンが3種もあると、バラバラに鍋を振るようになるので、時間を取られ、時間当りの売上が下がるのです。

マーケティングという言葉があります。

アメリカ・マーケティング協会が定義した、元々の言葉の意味は、「商品を創造し、双方が満足する交換を行うための、計画と運営のプロセス」です。ざっくりいえば、「お客を喜ばせながら、お店に利益が残る方法を考えること」です。

つまり、お客だけを見ていてはダメで、自店の利益も考えながらメニュー組み、オペレーション組みをする必要があるのです。

商売はバランスです。もし、お客の目線に寄りすぎているなら、少しだけ自社の都合に引き戻してください。

都会のキッチンは狭くて使いやすい

私は、住民票のある岡山市と東京を行ったり来たりしながら仕事をしています。その他にも北陸、九州と出張はあるのですが、行った先のお店のキッチンを見て感じるのは、人口密度の高い都会のキッチンは狭くて使いやすく、そうではないエリアのキッチンは広くて使いにくい傾向があることです。

人口密度が高いほど、坪当りの家賃が高くなるので、キッチンを狭くして席数を増やさないと、必要な売上を確保できなくなります。逆に、坪当り家賃が低いエリアはその必要がないので、広くなっていることが多いです。