「誠意」を要求されたら、代替案を提示してはいけない

【ケース②】
誠意を見せろ! と言われた

お客様のコートに、うっかりコーヒーをこぼしてしまいました。すぐに謝罪し、クリーニング代をお渡ししたのですが、お客様の怒りは収まらず「誠意を見せろ」と繰り返されます。具体的な要求ではないため、このあと、どのように対処したらいいのか困ってしまいました。

・NG対応
「ご迷惑をお掛けした分、補償いたします」と、商品を新品に取り替えたり、金銭を払ったりする。

・解説
「誠意」を求めてくる場合は金品の要求であることがほとんどなので、対応者側から解決策を提案してはいけない

「誠意を見せろ!」とだけ繰り返し、その内容を具体的に示さない場合、相手の本心は金品の要求である場合がほとんどです。

常習の悪意クレーマーは、「お金を払え」などと、ストレートに表現してしまうと、脅迫罪に該当することを知っているので、あえて「誠意」のような曖昧な言い方で相手に詰め続け、金品での解決という提案を引き出そうとするのです。

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曖昧な言葉でクレームを受けた場合は、「誠意とは、具体的にどういうことですか?」と尋ねましょう。するとたいてい、相手は「それはお前が考えろ」などと、明確な表現を避けて返答します。このようなときに困ってしまわないよう、「自分なりの誠意とは何か?」の答えを組織として決めておく必要があります。

「誠意とはなにか」を問いなおすのも効果的

こちらに非がある場合、組織としての「誠意」は、謝罪であり、きちんと説明をすることです。例えば、

・切り返しフレーズ
「誠意をもってお詫びいたします」
「説明が不足しまして申し訳ございません」

など、説明不足であった点や不快な思いをさせてしまった点、ご要望に沿え添えないついて部分謝罪をします。相手が納得せず、「詫びなんていらない」「そんなものは誠意ではない」などと、さらに求めてきた場合は、「私の誠意はお詫びをさせていただくことです。それ以外の誠意は分かりません」

「お客様のおっしゃる誠意とは何かを具体的にお聞かせください」と毅然とした態度で応答し、対応者側から金品での解決を提案する気がないことを示しましょう。

・POINT
「誠意を示せ」を繰り返すだけの人は、金品での解決を狙う悪意クレーマーの可能性が高い。こういう客がいつ現れてもいいように、事前に「誠意とは何か」の明確な答えを用意しておき、対応者側から金銭の支払いは提案しない。