実際の「作業時間」を考えるきっかけに

これを始めてから、自分が予想した時間の見積もりが甘いことに気づきました。資料作成は3時間あれば足りるかなと思ったものの、実際は倍かかり、翌日に持ち越したりします。時間割を作ることで、自分の時間感覚と実際の作業時間のズレを修正していくことができました。

参考までに、現在、筆者が実際に使っているものを掲載します(図表1)。

出所=『あっという間に人は死ぬから』(KADOKAWA)

1日のスケジュールの時間割を作成し、自分が使いやすいようにアレンジしたものです。まず左の欄外に、活動時間を書きます。次にその右側に、「時間が決まっているタスク」を書きます。さらにその右側に、「そのタスクの詳細についてのメモ」を必要であれば記載します。

この日は、朝から密着取材が入っていたので、取材で話すことのメモを書いています。そして一番右側には、「時間は決まっていないその日のTODOリスト」を書きます。「タクシーで移動する」「おやつを食べる」などの細かい予定も書いています。

ノートに直接書いてもいいですが、予定は変わるので、私は付箋に書いたものを貼り付けて、予定が変更されたら付箋の位置を貼り替えて管理しています。

週の予定や月の予定、年間の予定などの管理は、グーグルカレンダーで行っていますが、1日の細かな予定は、このようにタイムボクシングで行っています。これは前日に作ることが多いです。

ちなみにノートはコクヨのソフトリングノート(方眼タイプ)を使っていて、1枚ごとに切り取れるように切り込みが入っているので、1枚千切って持ち歩いています。グーグルカレンダーでも手帳でも、お好みのものを使ってみてください

手を動かす前に「思考」の時間を作ろう

特に上位3つ(①タイムボクシング ②優先順位をつける ③ノーと言う)は、私自身もその効果の大きさを実感しています。

佐藤舞『あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方』(KADOKAWA)

チームのプロジェクト管理ツールを提供しているアサナ社の調査によると、ナレッジワーカーの時間の60%がメールへの返信、プロジェクトの調整、ミーティングのスケジュール設定などの調整タスクに当てられているようです。これらは「仕事のための仕事」といえるでしょう。こなせばこなすほど仕事が捗った気がしますが、あくまでも「仕事のための仕事」です。

あなたが本当にすべき重要な仕事は、より抽象的で複雑で深い思考力と集中力を要します。それにはストレスがかかるので、「とりあえずデスク下のごみ捨て」をしたり、メールやチャットの返信などをして、「何かが捗った気になりたい」のです。

筆者の場合、自分の会社の社長業、メディア出演などのインフルエンサー業、作家業など、やることが多岐に渡っており、何も考えずにこなしていたら消耗してしまいます。「手を動かす前に考える時間」を設けることが思考の整理につながり、何をするべきかを明確にしてくれるのです。

参考文献
※ How Timeboxing Works and Why It Will Make You More Productive, Marc Zao-Sanders/2018年

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