まずは既得権益があることを認めるべきだ

多くの人は、改革には既得権益を打破しないといけない、という。しかし、改革できないのは既得権益を認めないからだ。

原田泰『日本人の賃金を上げる唯一の方法』(PHP新書)

専業主婦も既得権益だとしたら、いまさらバリキャリになれというのは間違っている。正しい解決策は、社会保険料負担の開始の年収を200万円まで引き上げることだ。高校を出てフルタイムで働くと、初任給18万+ボーナス3カ月分(初年度のボーナスは年末にしかフルに出ないから3カ月分となる)、すなわち、初年度の年収は18万円×15月で270万、社会保険料の自己負担分は15%であるから、社会保険料差し引き後の所得は230万円なので、わざわざ就業調整するより、フルに働いて270万稼いだほうがよいだろう。

一方、パートで働いている人は、200万円までになれば就業調整が必要なくなる。ただし、配偶者手当は、103万円または130万円を超えると一挙になくなってしまうものだから、こちらも200万円、あるいは所得制限なしにしていただくしかない。

社長、この際だから、賃上げのついでにこちらも太っ腹で! と私からもお願いする。とくに、パート従業員を多く雇っている業界では、太っ腹でお願いしたい。

関連記事
【第1回】なぜ日本人の賃金は「韓国以下」に落ちたのか…変化を嫌い、競争を避ける「日本のダメすぎる2大悪習」
日本の"発展途上国化"が止まらない…世界から「アフリカ並みに安い国」扱いされる"観光立国"の末路
「仕方なく非正規で働く人」は確実に減っている…データが示す「低賃金でこき使う企業」が淘汰される未来
「父からお金をもらわないと何もできないなんて…」専業主婦の母をもつ40代独身女性が結婚を焦らないワケ
申請を忘れると年金200万円の損…荻原博子「もらえるものはとことんもらう」ための賢者の知恵