牛乳が余ったのは市場ではなく政府の失敗

まず、政府が将来の市場を指し示すというのだが、それが正しいという保証はない。たとえば2021年12月21日の記者会見で、岸田首相は「年末年始には牛乳をいつもより1杯多く飲み、料理に乳製品を活用してほしい」と述べたとのことである(「『牛乳を飲もう』大号令」『日本経済新聞』2021年12月23日)。

乳製品の需給は農林水産省によって統制されており、企業が自由に生産しているわけではない。牛乳が余ってしまったのは、資本主義が間違っていたからではなく、農水省の指し示した方向が間違っていたからだ。その失敗を国民が引き受けさせられるのはかなわない。

コップに注がれる牛乳
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気候変動や経済安全保障分野で、しなければならないことはするしかない。その意味では、政府の指し示す方向は正しいというより、前者は国際的約束で、後者は安全保障のためにそうするしかないことだ。しかし、これらはいずれもコストを上げる政策である。