コンタクトを取った理由は、興味本位と下心

実は私自身、いろいろとあやしい投資案件に首を突っ込んでいた時期があり、そのときには、まさに今回のような「(自称)稼いでいる人」と会って、直接やり取りしたこともありました。

もっとも、自ら稼いでいることをアピールしている人、そして、それをエサに投資の勧誘をしてくる人など、普通に考えれば明らかにあやしく、また、反社会的な匂いがするケースも少なくなく、少し怖い感じもします。

にもかかわらず、私が積極的に会っていた理由は、以下の2つ。

1つは、単なる興味本位、すなわち投資マニアとしての野次馬根性で、ただただ「本当に、稼いでいるのか?」を確かめたかったため。カッコよく言い換えれば、私自身、お金の専門家であるFPとして、真実を知りたかったから。

もう1つは、(多分、ウソだろうなと思いつつも)もしかしたら本当に稼いでいるのでは、という密かな期待。もし本当に稼いでいるのなら、その投資案件で私も大儲けできるのでは、という下心があったことは否定しません。

ただ、突然画面に出てくるダイレクト広告のような投稿は、素性がまったく分からなかったり、日本語がおかしかったりと、明らかにあやしいものが多く、それらはスルーしました。

しかし幸い、FPという仕事柄もあって、「知り合いの知り合い」レベルでは、「稼いでいることを方々でアピールしていて、いろんな人と会いたがっている」人は少なからずいて、彼らを紹介してもらい、複数の人とお会いしたのでした。

そして、彼らに共通する、様々なことを知ったのでした。

お金よりも、自由をアピール

彼らが指定してくる場所は、ホテルラウンジや高級喫茶店など、セレブな空間が多かったです。そして、やたらと場慣れした感じで振る舞う様は、いつもこの場所で会っているのだろうな、と思わずにはおられませんでした。

まず、彼らはいきなり投資の話ではなく、世間話で、場の空気をほぐします。

その内容は、「先月も、ハワイへ行ってきた」「週に2~3回は、ダイビングを楽しんでいる」など、自由に楽しく、人生を謳歌しているといったものがほとんどでした。

写真=iStock.com/Nuture
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そして、これに私は、「なるほど、上手いな」と感じるのでした。

というのは、我々が欲しいのは「お金そのもの」よりも、そのお金で得られる「自由」なのですから。

そして、まさに目の前にいる人が、その自由を体現しているとなれば、これはグッと興味を引きつけられるわけです。また、そのような体験談は聞いていても楽しいですし、さらに言えば、いきなり露骨にお金の話をしないことも、警戒感を薄れさせる効果もあるでしょう。

なので、これは理にかなっているなと、大いに感心したことを覚えています。