「地方創生」は地方ではウケないという現実

一方で、比例票から逆算した自公両党の構造からすると、公明党との関係がなくなると自民党は最大60議席ほどを無条件で失う計算になります。実際には、もっと勝てないかもしれません。公明党や支持母体の創価学会の支援がなくても勝てる自民党候補はせいぜい30名から40名前後なのであって、公明党との選挙協力なしにいまの自民党が勢力を維持することはもはや困難と言えます。ここの立て直しは自民公明両党が胸襟を開き、選挙結果を踏まえて真摯に反省して議論し、立て直していかなければならないでしょう。

今回、石破茂さんは地方創成予算倍増を掲げて地方経済の立て直しを強く主張しました。ところが、実際には都市部で苦戦すると思われた自公においては、神奈川を除き当初の予測よりも都市部で議席を確保することができました。むしろ、地方の経済を立て直すと地方創成の話を強弁しても、いまや人口減少の局面に入りバリバリ働くわけでもない地方の高齢者の票田には刺さらないのだ、ということはよく念頭に置いておく必要があります。

本来、総裁と幹事長の責任が問われるべきだが…

森山裕幹事長(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

自民党がここまで敗戦した背景には、裏金問題で攻めてくる野党への対抗が組織的にできず、特に違法でもないが時宜的に不適切の極みではある支部2000万円支給問題を赤旗に書かれて万事休したという背景があります。ここには、早期解散論を条件に幹事長に就任し、ちょっとそれはと思うような組閣人事を進め、最後は幹事長室が時期的に適切とは到底言えない2000万円支給で期日前出口の数字を崩壊させて激戦区を15議席以上落とした森山裕さんの責任が、第一義的には問われるべきとは思います。

ところが、実際には選挙対策本部長であった小泉進次郎さんが先に自ら責任を取って辞任する運びになり、石破茂さんは総裁として何らの責任も取らず、幹事長とともに留任という展開になってしまいました。常識的には、全体の2割以上にあたる56議席も失い自民単独過半数どころか友党・公明党と合わせても過半数割れになって、おめおめと総理に残留するというのはどういうことなんだ、という意見が党内や支援団体から出てもおかしくありません。