絶不調「ユニクロ」の強烈な巻き返し

ところが、2000年前後からそうしたジーンズカジュアル専門店が倒産し始めたのです。地元で長らく見てきた三信衣料もフロムUSAも倒産し、ジョイントも随分と店舗数を減らし始め、あの梅田店もいつの間にか撤退していました。現在ではジョイントそのものもなくなってしまいました。

その後もジーンズカジュアル専門店の倒産は続いていましたが、そんな中、2007年頃まで業績を伸ばし続けてきたのがライトオンとマックハウスでした。ついでにこのころまではジーンズメイトも業績を拡大しており、大手3社と呼ばれるようになっていました。

その大手3社も、2010年ごろから業績が陰り始めます。リーマンショックによる不景気もありましたが、筆者はユニクロの台頭が大きかったのではないかと考えられます。

98年のフリースブームで脚光を浴びて成長したユニクロでしたが、その反動から2000年頃は絶不調に陥ります。しかし、ヒートテックをリリースしたり、2004年からはファッション化を進めたりと、次の手を打ち始めました。もちろん失敗したものもあれば成功したものもありますが、2006年ごろからはデザイナーズコラボを開始し、2009年には世界的デザイナーのジル・サンダー氏とのコラボライン「+J」を大々的に発表して大きな評判を得ました。

写真=iStock.com/winhorse
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「ブランドにこだわらなければユニクロで十分」

この頃になると、マス層のカジュアルウェアの買い場はすっかりユニクロが基本となり、それ以外のアイテムをどのブランドで買うかという状態になりました。2010年代になると、ユニクロは老若男女のマス層から支持され、大学生などの若者と後期高齢者が同時にレジに並んでいるという「国民ブランド」になりました。

ジーンズを基本とするカジュアル服も「ブランド物」にこだわらないのであれば、デザイン面も改良されたユニクロで十分という状態になり、今に至ります。ユニクロの成長と反比例するようにジーンズカジュアル専門店大手3社の業績は下がり続けます。実際に「リーバイス」や「エドウイン」というブランド名にこだわらなければ、3990円のユニクロのジーンズは品質的にもデザイン的にも遜色ないと私は思います。