キャッシュレス決済が合う人、合わない人

武田家のように、ポイント目当てでカードや支払アプリを複数使い分けた結果、お金の使い道が不透明になるケースは少なくありません。

これだけ「お金の出口」が多いと、一つひとつ明細確認するのに時間と手間がかかり、やがてチェックすることが面倒になったりして諦めてしまう。すると支出の把握ができないので、ストッパーが外れ支出がどんどん膨らむ。その結果、武田家のような「ギリギリ家計」、場合によっては、赤字家計に転じてしまうのです。

横山光昭『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』(クロスメディア・パブリッシング)

また、支払いアプリは分散すると、残高もポイントも中途半端になり、使い道が限定されます。仮に、支払アプリのポイント残高が30円しかないと、110円の買い物をするために100円をチャージして使い、20円が残り、また100円をチャージして……、と、残高を使い切るために余計な消費を重ねてしまいかねません。これぞ、ムダの極みです。

では、キャッシュレス決済が合う人はどういう人か。ズバリ、「管理できる人」です。

自分たちが使っているカードや決済アプリの枚数、それぞれの利用明細、ポイント残高まできちんと把握できているかといえば、たいていの人は、できていないでしょう。管理できないなら、できる範囲内にとどめましょう。私自身、手を広げすぎると管理不能になることが分かっているので、持ち歩いているのは、電子マネーのSuicaと、PayPay、そして数千円の現金のみ。もちろん、コード決済はオートチャージ設定にせず、都度チャージして払います。

キャッシュレス貧乏はお金の出口を絞るべし

さて、話を武田家の家計に戻します。「お金の出口」が分散されて収集がつかなくなった家計は、まず出口を整理することが大切です。

差し当たっては、カードは3枚所有していたのを、メインと家族カードの2枚に減らしてもらいました。コード決済は4つあったものを1つに絞り、オートチャージ設定は解除。

そうしてお金の出口を絞った上で、アプリやカード別に、費目ごとにいくら使ったか、Excelなり紙の家計簿なりでつけてもらいました。私はこれを「キャッシュレス家計簿」と呼んでいます。

※『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』(横山光昭著/クロスメディア・パブリッシング)から引用

つけ続けてもらった結果、変動費の内訳が分かりました。食費が12万5000円、日用品代が2万5000円、被服費が2万円、娯楽費が1万4000円です。3人家族にしては、特に食費が多い印象です。食費はコード決済しやすい費目で、つい浪費してしまう落とし穴と言えるでしょう。

ムダな支出が見えてきたので、食費を3万円、被服費を1万円減らすなどして変動費で計5万7000円削減できました(表参照)。