健康診断を絶対視する必要はないと理解する
健康診断の結果に一喜一憂したり、不安をあおられたりしている方も多いことと思います。そのような方には衝撃的かもしれませんが、私は、健康診断の数値を絶対視する必要はないと思っています。
その理由は、検査結果と実際の健康状態がリンクしていないから。数値が異常でも健康な方はいますし、その逆で、数値が正常でもあっても病気にかかる人もいます。
このような現象が起きる理由は、日本の健康診断は、相対評価によって「正常」の数値を設定しているからです。健康とみなされる人たちの数値から平均値を割り出し、その95%の範囲内に収まる人を「正常」、そこから外れる人を「異常」とします。
つまり、例えば「コレステロール値が異常」という結果が出た場合も、あくまで平均値から外れたというだけのことであり、明らかに病気になるというエビデンスがあるわけではないということです。
健診では何十項目という項目を検査されるかと思いますが、そのなかで病気との明らかな因果関係を持つのは、血圧や血糖値、赤血球数など5項目程度ほど。それ以外の項目に関しては、明らかな異常値ではない限り、将来的に病気になるというエビデンスはないのです。
コレステロール値に関しては、高いほうが免疫力が上がり、がんになりづらくなることがわかっています。また、血糖値を無理に下げようとすると、低血糖になり、意識障害のリスクが高まります。また、血圧を下げ過ぎると転倒の危険性が高まります。
こういったことを加味せず、やみくもに正常値を追いかけることは危険です。健康診断を受けるより、脳ドックや心臓ドックを受けるほうが、突然死につながる恐れのある病気の発見に役立つので、よほど価値があると言えます。