本当に有益かわからない薬でも杓子定規に処方するケースが
経験のある方も多いでしょうが、病院が効率重視に陥り、一人ひとりをじっくり診ることができなくなっているというケースは多々あります。その人の状態をつぶさに観察することなく、ひたすら数値を正常値に戻すことに必死になってしまう。そのために、その患者にとって本当に有益かどうかわからない薬であっても、杓子定規に処方するのです。
私は、安易に薬に頼るべきではないと思っています。
もちろん、風邪や頭痛などが辛いとき、一時的に力を借りるぶんには問題はないでしょう。しかし、長期にわたって薬を飲み続けることで、内臓の機能が衰えていくことも考えられますし、多剤服用のリスクもあります。
ですが、医者がこういった薬の副作用について話すことは多くありません。
高齢になるほど薬の副作用は出やすくなるものですから、薬を飲んで体調が悪くなったのであれば、時には薬を捨てる勇気も必要になってくると思います。
血圧、血糖値、コレステロール値……大切なのは、血眼になってこれらの数値を正常値に戻すことではなく、自分の体からのサインに目を向けることです。
私は血圧が最大220ですから、高血圧とされる140をはるかに超えています。それでも医者から処方された通りに薬を服用することはありません。指示通りに薬を服用して無理に血圧を下げてしまうと、頭がボンヤリしてしまうからです。
そのため、自分で薬の量を調整しながら、おおよそ170あたりを維持できるようにコントロールしています。
また、血糖値に関しても放っておくと600くらいになります。正常な血糖値は140未満と言われていますから、こちらも平均よりかなり高い状態ですが、処方された通りの量は飲まず、運動をすることで300くらいまで下げています。
薬を服用して無理に正常値に近づけようとし、不調になるくらいなら、たとえ将来的に病気になるリスクがあったとしても、今、心地よく毎日を過ごすことのほうが、私にとっては重要なのです。必要以上に健康を気にして我慢を強いられる生活を送るよりも、長生きにこだわらず、死ぬまで楽しく、自分らしく生きたいと思っています。
自分が受ける医療は自分で決めていいと私は思います。それは、自分がどう生きたいかということにそのままリンクするでしょう。
あなたの医者は、あなたの人生観や死生観を理解しようとしてくれる人ですか?
大事な命を任せるに足る人でしょうか?
常にそんな問いを持ってみてください。医者の言いなりにならないということは、シニア世代を迎えた私たちの人生の質を向上させる、大切な知性だと思います。