いい医者にかかりたい、ヤブ医者にはかかりたくない――。誰もがそう望むが、医療の専門家ではない私たちが見分けるのは至難の業だ。そこで識者に、その見極め方を聞きに行った。

医者のどこを見れば良悪がわかるのか

病院には日常的に世話になるのに、一般人と医療従事者との知識のギャップは甚だしく大きいのが現実だ。私たちは、いい医者、ヤブ医者をどのように見分ければいいのだろうか。

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「いい医者の条件を強いて1つ挙げるなら、『コミュニケーションがとれること』です」

そう語るのは、外科医・病理医の裴英洙はいえいしゅ氏。医療機関向けのコンサルティングを行うハイズの代表でもある。裴氏は「もちろん、治療実績は大事です。しかし、たとえ診断、治療の能力が高かったとしても、コミュニケーションがとれない医者はいい医者とは言えない」と語る。

「いわゆるヤブ医者の要素は、1つではありません。ヤブ医者は『集合体』なんです。というのも、誤診、間違った治療、民間医療を勧める、コミュニケーションがとれない……そんな要素が少しずつ集まった結果、集合体として“ヤブ医者”になる。もちろん、エビデンスのない非科学的な医者は論外です。一方で、近年の医学界では『コミュニケーションが重要である』という認識がますます高まっており、医学部でも、診断や治療の説明において、患者さんとうまくコミュニケーションをとるための講義が取り入れられているほどです」