セロトニンは不足しても過剰でも問題に
② セロトニン
セロトニンは感情の安定や衝動の制御に重要な役割を果たします。感情の調整や他者との関係を築く能力にも影響します。セロトニンが不足すると、キレやすい、感情の制御が難しいといった行動が引き起こされる可能性があります。また、セロトニンが不十分な場合、うつや不安といった精神的な問題も表れやすく、不登校の一因となることもあります。
ASD(自閉スペクトラム症)を持つ子どもたちの約25%において、血中セロトニンレベルが通常よりも高いことが確認されています。このセロトニン過剰症が、脳内の神経発達に影響を与え、社会的なコミュニケーション能力や感情制御に関わる可能性が示唆されています 。
*The serotonin system in autism spectrum disorder: from biomarker to animal models:Neuroscience. 2016 May 3; 321: 24–41.
PETスキャンを使用した研究で、自閉症スペクトラムの子どもたちの脳内でセロトニンの合成率が異常に高いことが確認され、これが自閉症の特徴的な行動(社会的な関与の困難さなど)と関連しているとされています 。
*Altered Serotonin Synthesis in the Dentatothalamocortical Pathway in Autistic Boys:Ann Neurol 1997;42:666–669.
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③ GABA
GABAは、中枢神経系において主な抑制系の神経伝達物質であり、興奮性神経伝達物質(例:グルタミン酸)の働きを抑えることで、神経細胞の過剰な活動を抑制します。この働きにより、感情の安定、行動の抑制、注意の維持などが促進されます。
ですから、GABAの不足や機能不全が、衝動的な行動や感情の爆発といった問題行動に結びつくことが示されています。特に、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やASDの子どもたちにおいて、GABAの機能異常が見られることが研究で確認されています。
GABAの不足は、脳内での興奮性シグナルの過剰な発火を引き起こし、衝動的な行動や過活動が増加します。GABAが十分に機能していれば、神経活動が適切に抑制され、衝動を抑えることができますが、GABAの働きが低下すると、感情や行動のコントロールが難しくなります。
また、GABAは不安感やストレスを軽減する役割を持っています。GABAの不足は、過剰な興奮や感情の爆発を引き起こしやすく、不安やストレスに対する耐性が低下します。これにより、「キレやすい」などの感情のコントロールの問題が発生します。GABAの働きが低下すると、注意力や集中力を持続させることが困難になり、注意欠陥や集中力の持続困難が生じやすくなります。
*Reduced GABA Concentration in Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:Arch Gen Psychiatry. 2012 Jul; 69(7): 750–753.