「痛み」を我慢してはいけない

適応障害のチェック項目について、少し説明します。

※1の「痛み」ですが、痛みは我慢するとますます痛みを強く感じてしまいます。痛みを放置しておくと、慢性痛になり、過敏状態になり、難治性へと発展します。治療しても治らない痛みを作り上げてしまうのです。

痛みが記憶として残ると、痛みの原因を取り除いたにも関わらず、なおも痛みを感じてしまいます。痛みは我慢してはいけません。

※2の「マイナス思考」というのは、「どうせ失敗する」「私はダメだ」と、悪いほう悪いほうへと考えが向かうことです。完璧主義の人によく見られる傾向です。

だからといって認知療法では、マイナスをプラスに無理に変えようとはしません。マイナスはそのまま置いておいて、別の可能性も一緒に考えるようにします。

※3の「自責思考」というのは、何か問題が起こったときに、他者ではなく自分に非があるとしてしまう考え方です。

自責思考がある人は、真面目で几帳面、完璧主義、ネガティブ思考、自己肯定感が低い反面、ミスを反省して改善努力する人とされています。プロジェクトへの当事者意識が高く、指摘されたことを素直に受け入れる柔軟さと成長意欲が高いとされています。

ビジネスで「自責思考」がいいは本当か

やっかいなのは、ビジネスの世界では自責思考のほうが高く評価される傾向があることです。

はたして本当に、自責思考は望ましいものなのでしょうか。

自責思考が強いと、ミスをすると「同じミスを繰り返さないように慎重になる」「やり方を工夫してみる」とがんばります。

それによって成長の機会を得ますが、度が過ぎるとストレス過多になりやすいのです。

物事がうまくいかないたびに、原因を自分自身の中に探してしまうため、精神的に追い込まれてしまいます。自分への評価が過度に厳しい場合には、精神的に疲労し、ストレスを溜めこみます。

写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
※写真はイメージです

自責思考のデメリットはストレス過多になり、自己完結して物事を考えてしまう点です。自分ですべての責任を負い、自分ひとりですべて対処しなければいけないと考える「自己完結型」の人は、報告・相談が苦手で、周囲になかなか頼ることができません。

特徴は次の通りで、優秀であると同時に頑固な一面があります。

・頭が良い(学歴が高い、成績が良いなどの形で)
・自分の意見に自信がある
・相談しない
・自分中心
・こだわりが強い
・これまでの問題解決能力が高い
・相手の話に耳を傾けない
・人に頼らない/頼れない
・勝手な解釈をしたり独断したりする