精神を健全に保つにはどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「ビジネスの世界では自責思考のほうが高く評価される傾向があるが、度が過ぎるとストレス過多になりやすい。原因を自分自身の中に探してしまうため、精神的に追い込まれてしまう。自責と他責の両方をバランス良く自分の中で育てていくことが重要だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『逃げる勇気』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

夜に傘をさしている女性の後ろ姿
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「逃げる」とは、生きていくうえで大切なこと

逃げるとは、危険回避です。

自由のきかない所や危険な場所から抜け出して、回避することです。

面倒なこと・嫌なこと・つらいこと・危ないことから、積極的に・意識的に遠ざかることです。

自分を安心安全な場所に退避させ、危険に直面するのを避けるとても正しい行為です。

生きていくうえで、とても大切なことだと思いませんか?

ボーイスカウトや登山家、労働災害が発生する危険な作業者であれば、命を守るうえで、いかに素早く危険を察知して危険を回避するかが何より重要であることを教わります。

経済的損失よりも命が優先です。命よりも大切なものはこの世にありません。

「ハインリッヒの法則」というものがあります。

労働災害の発生比率によると、1件の重大事故の裏には、すでに29件の軽傷事故があり、300件の無傷事故(ヒヤリハット)があると分析されました。

これまであなたは、どれだけのヒヤリハットがあったでしょうか。

小さなヒヤリハットが、いずれ取りかえしのつかない重大事故につながることを示唆しています。

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